和名
ヤブレアマノリ
学名
Neopyropia lacerata
〔ネオピロピア ラセラータ〕
所属
紅藻 ウシケノリ科 アマノリ属
特徴
葉状体は若いものでは長円形、成熟したものでは逆三角形ないし腎臓形をしており、赤褐色あるいは黄褐色でやや赤みを帯びている。基部は広い楔形ないし円形である。雌雄同株で雌部分と雄部分は混在しており、淡黄色の精子嚢班は縦長に入るので精子の放出に伴い縦に裂け目が入る。葉状体の縁は全縁で顕微鏡的な鋸歯がない。ふつう長さ・幅ともに5 cmくらいにまでなる。葉状体は1層細胞からなり厚さ24-30 µm、細胞の断面は四角形で1細胞に1個の葉緑体を持つ。葉状体と糸状体が交代する生活環を持ち、葉状体期には単胞子(原胞子)による無性生殖を行なう。
分布
本州太平洋岸中部、九州西岸。朝鮮半島でも生育が報告されている。葉状体は外海に面した岩礁域の潮間帯上部の岩上や他の海藻の上に生育する。
解説執筆
有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)
一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士
おしば標本の写真提供
菊地 則雄(きくち・のりお)
千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員、理学博士