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今年ののり生産はどうなるのか
11月から、全国で順次のりの入札会が開かれています。12月11日現在では、生産開始が遅い瀬戸内海地区を除くほとんどののり生産県で入札会が開かれており、落札されたのりの枚数は6億871万枚です。昨年同時期は約7億3,841万枚、一昨年の同時期は約9億2,445万枚でした。この時期で比較すると、今年と昨年の差は1億3千万枚の減です。
12月末で比較すると、昨年は約20億1,437万枚、一昨年は約17億9,426万枚になります。12月中旬以降に昨年は13億枚も増えています。一昨年も6億枚の増です。
注目すべきは、昨年の12月中旬以降の13億枚の増加です。昨年12月末現在の生産枚数の内訳を地区的に見ますと―。
◇東日本地区(宮城県から三重県まで)3億1,057万枚。
◇瀬戸内海地区(兵庫県から岡山県、徳島県から愛媛県)2億7,051万枚。
◇九州地区(山口県から鹿児島県)14億1,016万枚となります。
この中で例年より2億枚も多く生産したのは九州地区です。しかし、今年度の九州地区の生産状態は思わしくなく、12月末までに約7億枚の生産実績に終わりそうな気配が強くなっています。これは、昨年同期の約半分です。1月から3月末までの生産でこの7億枚を挽回する生産能力があるかどうか、現状では難しいと見られています。
南米沖で発生しているラニーニャ現象の影響で、1月から寒波が訪れそうです。のりは低水温を好むとはいえ、水温が下がり過ぎれば(12℃以下)のり芽の生長が鈍くなり、生産枚数は増えません。
九州地区の中核をなすのは有明海で、その生産枚数は日本一です。この有明海の生産状態が思わしくないため、九州地区全体が生産不振による減産となっています。
新年を迎えて年明けの九州地区の生産状況によって、今年の日本ののり生産枚数を大きく左右することになります。
今の時点で単純計算をしますと、宮城県の約5億5千万枚の減産と九州地区の約7億枚の減産で約12億枚の減産が予想されます。昨年の全国生産枚数は約85億枚でした。年明けの生産状態が昨年同様となった場合、単純計算の減産分を差し引いた今年度の生産枚数は73億枚程度になってしまいます。これは、昭和50年代の生産枚数と同じです。
一方、日本国内ののり消費枚数は年間約85億枚と見られています。これは、家庭消費とすし屋さん、コンビニで販売されているおにぎりに使われているのりの消費量等を合わせたものです。
これからいよいよのり生産が本格化します。さて、どのような生産動向となるのか、こんごの推移を注視して参りたいと思います。