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産地を追って no.4 のり普及促進への動き

4 のりへの関心を高めて頂くために

(3)親子で楽しむ「絵巻きのり教室」

全国ののり生産漁連の中央組織として「全国漁連のり事業推進協議会」があります。のり生産者団体が入札(協同販売)の運営を順調に進めるための組織ですが、「東日本地区漁連乾海苔共販協議会」、「瀬戸内海地区漁連乾海苔共販協議会」、「九州地区漁連乾海苔共販協議会」と、全国ののり生産県の生産者団体が地区別に連絡を取り合う組織があります。このような地域の組織は、のりの販売額に応じて一定の宣伝費を拠出し、中央組織に積み立て、地域の消費促進活動に応じて費用を配分しています。

九州地区の活動状況を中心にご紹介しますが、その活動の一環として「親子又は大人と子供ペアによる絵巻きすし教室」が開催されています。この教室は、いろいろな図柄(花、動物、漫画の顔)などを巻き込む巻すしの作り方の講習会です。大都市ではいろいろな消費促進活動が行われていますが、地方都市ではこのような活動が少なく、また、親子又は大人と子供が密着してコミュニケーションを図れる催しが少ないようです。

そのため、地方自治体の広報紙などにご協力を頂き、地方都市で親子又は大人と子供60名(30組)から100名(50組)を対象に「絵巻きすし教室」の巡回活動が行われています。「親子又は大人と子供」という表現は、おばあちゃん、おじいちゃんとお孫さんのペアもありますので、あえてそのように表現がされています。

これはある会場での教室終了後に関係者が、教室に参加した一人のおばあちゃんから「今日は楽しかったですよ。孫と一緒にこのような楽しい時間を過ごさせて頂いたのは初めてでした。有難うございました」と深々と折れ曲がるようにしてお礼を述べられ、それが脳裏に焼きつき、「親子」だけではなく「大人と子供」の幅広い交流の場にしようとした事がきっかけということでした。

この教室では、専属の管理栄養士による「絵巻きすし」指導と同時に、「食育講話」、「のりのお話し」などをプログラムにしています。管理栄養士は永年地方自治体の保健・衛生の担当者として活躍していた経験を活かし、乳幼児から高齢者までを対象とした幅広い知識を披露しています。教室の進行係は、保育園の保母さんを永年務めた女性で、子供を厭(あ)きさせない会話で会場の雰囲気を盛り上げてくれます。

このようなスタッフで、九州の各地方都市で「地道」な活動を行っていますが、教室の最後には、のり漁家から提供して戴いたのりがぶら下がっているのり網で、のり摘み体験を行ったりもしています。

写真3
(写真3.)

上の写真(写真3.)は、平成20年10月に福岡県うきは市で行われた「絵巻きすし教室」の会場の様子です。この日は、親子ばかりでなく、おばあちゃんとお孫さんのペアが目立ちました。

写真4
(写真4.)

上の写真(写真4.)は、お母さんの手伝いもあって上手に出来上がった「カタツムリ」の絵巻きすしを照れくさそうにカメラに向かって見せてくれた様子です。平成20年10月福岡県飯塚市の会場での風景です。

写真5
(写真5.)

上の写真(写真5.)は、真剣な表情でかつ楽しみながらのり摘みをする子供達の様子です。これは平成24年1月29日に開催された北九州市の子供の館での「恵方巻き丸かぶり」の行事を終えて、のり漁家の提供によるのりが付いたままののり網を会場に持ち込み、のり摘み体験を行なった時の写真です。

この日は参加者が多いため参加者は2組に分かれ、「のり摘み体験」と「海苔のお話」に2組が交互に参加する楽しいひと時になりました。

会場では、「摘み取ったのりは良く洗って、酢味噌和え、吸い物、茶漬け、佃煮などで食べて下さい」と産地のプロがアドバイスしていました。

このような活動は、札幌、千葉、東京、三重、愛知、兵庫、香川などの各地で行われていますが、出来るだけ多くの地域で産地の顔を見せながらのりについて味と価値を知って頂くことが、のりへの関心を高めて頂くことに繋がるのではないかと考えています。

のりが日本古来の食材であることは多くの方がご存知ですが、「和食文化」が忘れかけられているのではないかと気にしながらの「地道な」消費促進活動は、今後も続ける必要があるようです。

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